Essay

 兵庫には、海があり、山があり、川がある。都市があり、農村があり、島がある。そして何よりも、明るく、あたたかい人たちがいる。

 映画『火垂るの墓』が撮影できたのも、そのような人たちと風土に出会えたからである。「戦前の剣道場がほしい」「古い洋館は?」「人里離れず、神秘的な池は?」等々、次から次へと出される難問に、こちらのイメージ以上のものを探し、示してくれる情熱があった。

 どこに行っても同じような風景になってしまった今の日本で、『火垂るの墓』に出てくるような風景があったことは奇跡的である。しかし考えてみると、風景をつくるのもまた人間なのである。